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国民医療費負担は限界に近づいている ―バイオ医薬品の研究開発は国内で―


日本の貿易赤字の5割以上が、海外からのバイオ医薬品の輸入で占められています。年々その割合は増加しています。21世紀になって新薬開発の主軸は低分子化合物から遺伝子工学を利用した抗体医薬品へ移行しています。その段階で日本は新薬開発のスピードについて行けなくなり、新薬(バイオ医薬品)をほとんどすべて輸入に頼るようになっています。

その薬価は極めて高額で抗がん剤オプシーボの薬価に示されるように、一人あたりの治療費が年間3,500万円となっています。多くの人が指摘されるように、その支払いで貿易赤字は膨らみ、国家財政の破綻にも繋がりかねません。この一剤の輸入額が年1兆7,500億円に達するからです。バイオ医薬品のジェネリックはバイオシミラーと呼ばれています。そのバイオシミラーの開発は韓国、中国、シンガポールで進んでおり、日本にはバイオシミラーを開発する能力も劣っています。バイオシミラーは韓国から輸入しています。

今後バイオ医薬品並びにバイオシミラーの開発能力を進展させ国民の医療費負担が軽減されるよう優秀な研究者、製薬会社、政府が力を合わせていただきたいと願っています。